FXでレバレッジと並んでよく目にする言葉で「ロスカット」というものがありますが、このロスカットというシステムは顧客(トレーダー)の損失を抑えてくれるシステムでもあり、FX会社が自分たちの損失を出すのを回避するためのシステムでもあります。
基本的には善意に基づいて設定されているシステムなのですが、時に受けなくても良かった損失をトレーダーに与え、利益を逃してしまう自体を発生させるシステムでもあります。
決められた%以上の損失を抑えるロスカット
これは会社によって変わってきますが、FX会社が予め設定してある%以上の含み損を抱えた際に発動されるのがロスカットで、このロスカットにも2種類あります。
1つは通常のロスカット。大体、証拠金の70〜80%の値で設定されていることが多いです。これはその値を下回ったら即ロスカットされるのではなく、まずは「証拠金率を回復させるまでの額を入金するか、ポジションを閉じてください」という追証の通知が来ます。
この追証に沿って入金せず、また自らポジションを閉ざさなかった場合、FX会社によって自動的にポジションを閉じられます。
次に強制ロスカットというものですが、これがよく巷で目にする破産エピソードで登場するロスカットです。これは維持率を50%下回ったらで設定されている場合が多いです。これは急激な価格変動から顧客を守るためのシステムでもあり、顧客が証拠金以上の損失を出してFX会社が損失を被ることを防ぐシステムでもあります。
こちらは事前の通知や連絡なく、一瞬でも下回ったら即自動的にポジションを閉じるため、「強制ロスカット」という名称になっているのです。
不要なロスカットを割けるべし
ここまで読むと何だか非常に素晴らしいシステムのように思えますが、冒頭でもお話したように投資家にとっては、時に厄介なシステムとなります。
例えば何かショッキングなニュースが報道された際、それまでどんなに含み益が乗っていたポジションだとしても、1秒でも、ほんの一瞬だけでも50%を下回ったらロスカットされるので、超瞬間的なレートの変動で大きい損失を出す可能性があります。
これは通称「行って帰ってこい」と呼ばれるものですが、超瞬間的なものは少ないですが、時間が経てば元のレートに戻っていた、なんてことは日常茶飯事です。結局、時間が経てば戻っていて問題はなかったのに、ロスカットのシステムのせいで出さなくても良い損失を出すケースがあるのです。
なのでレバレッジを掛けてポジションを建てる際は、リーマンショック級の変動まで予測しなくては良いものの、ある程度の変動まではロスカットが発動しないように計算しながらポジションを作るのが、万が一のリスクを回避する方法となります。